わたしはお米が大好きということもあり、その関係で稲作にも以前から(小学校の社会科の授業で学んで以来)大変興味を持っておりました。
15~16年前になるでしょうか、当時の勤め先の先輩が自宅で米をチョットだけ作っていて今度の日曜日に田植えをするということを聞き、手伝うから見せて欲しいとお願いしました。
当日はあいにく雨天ではありましたが、田植えには問題ないとのことで、郊外の先輩の自宅まで行ってきました。
郊外といっても近くの国道沿いにはいろんな店があり、かなり開けている感じでしたが、先輩の手書き地図を頼りに一般道に入るともう「どこの田舎か」という印象の風景に変わります。
住所の番地も4ケタで番地表記もなにもありませんから、市販の地図だけではとても一人で行けないところでした。
少し丘(山?)を上がったところに先輩宅があり、彼はもう作業着にゴム長靴といったいでたちでわたしの到着を待ってくれていました。
さっそく近くの田んぼに行きました。
それまでわたしの「水田」のイメージは、高速道路や電車の車窓から見える平地に四角く区切って整備されたものでしたが、先輩の田んぼは山あいだったこともあり、目のような形の地形でした。
ちょうど「棚田」の1枚だけが曲線の道路沿いにある感じというとイメージが伝わりますでしょうか。
狭く見えたその田んぼの広さは「1タン」とのこと。
「一反もめん」の一反ですかと聞くと、それは長さの単位の「反」で、こっちは広さの単位の「反」で300坪(≒1,000平米)。これが稲作における面積の基本(最小)の単位だそうです。
狭く見えるのに300坪もあるんですね。
300坪と聞くと建売一戸建てが10軒ばかり建つわけで、かなりの広さです。
で、この1反でどのくらいの量のお米が穫れるのかと聞くと「8ヒョウぐらいかなぁ」 … また出た、知らん単位が。
「ヒョウ」とは「俵(たわら)」という字を書き、60㎏をあらわすのだそう。
8俵(ひょう)といえば480kgで、我が家で月にだいたい10kgぐらい食べますから、4年分あるわけです。
てなことをすでに水が張られてある田んぼを見ながら考えていると、先輩が苗を用意してこられました。
聞くと苗は自前ではなく農協で買うのだとかで、四角いシートに苗がギッシリ詰まっており、プラスチックの箱(カセットというのだそうです)に入っていました。
田植えは手でおこなうと勝手に想像していましたが、田植え機を使うとのことで(そらそうか…)、小さい田植え機が倉庫から出されて来ました。
田植え機は、これまた「イセキのさなえ」などの農機のCMで見た乗用タイプではなく、手押し車というか(荷物を運ぶほうの)1輪車というかみたいな感じで、(古いタイプの)バイクのようなハンドルがついています。
この小さな田植え機ですら、村(集落)の組合の共用品だそうです。
なので田植えや稲刈りなどの農機の要る農作業は、組合員同士でスケジュールを決めておこなうそうです。
さっそく先輩が田んぼに田植え機を入れ、端から順に植えていきます。
で突き当たりでU-ターンして戻ってきます。
田植え機が動いているところを近くでじっくり見るのは当然初めてでしたが、外の大きな(移動用の)車輪に挟まれて中に小さな円盤が車輪のようにいくつもあり、円盤1枚あたり(12時、4時、8時の位置に)3ヶ所に爪が付いています。
爪は「人差し指と中指を2本合わせて立てて少し曲げ、他の指は握った状態の手」のような形になっていて、その2本の指の間で苗を挟んで円盤が回転するのにあわせて苗を植える、という動きをします。
わたしの拙い表現でどこまでお伝えすることができるのか、甚だ心許ないところではありますが、田植え機の良く考えられた仕組み・動きは、見ていて感心するばかりです。
5往復ぐらいしたらひととおり植え終わりました。
あとは田植え機の入らない端っこに、余った苗を手で植えていきます(結局手伝ったのはココだけでしたが…)。
いずれにせよ、とても楽しい体験だったことは間違いありません。
MMXVI
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